新しいシラバス項目に対応する「到達目標」の記述例 

はじめに

FD推進センターでは、2015年度分以降の新しいシラバス項目及びシラバス作成ガイドを補完するものとして、とくに、シラバスにおいて重要となる「(2)到達目標」の記述例を作成しました。 「到達目標」(2014年度までは「授業の到達目標」)の書き方について、参考となる記述例がほしいという学内教員からのご意見を踏まえたものです。 学内外のシラバス上の記載から事例を集め、検討したものですので、「到達目標」を作成する際のご参考にしてください。
(参考)「到達目標」に関する記入ガイドライン(2015年度以降)
  • 「授業の目的・意義」をいくつかの事項に具体化した、現実的な学習目標を記載します。
  • 学生を主語とする書き方とし、学生がこの授業を履修することで獲得することのできる知識やスキルを、学生がイメージできるよう、具体的かつ平易に記述します(「○○できる」などの形式で、動詞を使い表現します)。
  • 成績評価に結びつけられるよう、観察・測定・評価可能な目標とします。  以上

「到達目標」の記述例の分類(検索のために)

到達目標の記述例を検索しやすくする趣旨から、到達目標の領域を授業形態ごとに整理したものが下記の表(『「到達目標」の記述例の分類』)です。 一般に、到達目標は、その性格に応じて、「①知識理解領域」「②技能領域」「③態度領域を含んだ他分野・他科目への応用発展的領域」の3つの領域に分類できます。 各授業の到達目標は、1つないし複数(2つないし3つ)の領域に分類できます(ひとつの授業の到達目標が、3つの領域すべてを含む必要はありません)。 「到達目標の記述例」では、「講義科目」「実験・実習など」「演習・ゼミ・PBL(プロブレム・ベースド・ラーニング/プロジェクト・ベースド・ラーニング)」の授業形態ごとに、各領域でよく用いられる記述例を示しています。 ただし、同じ授業形態でも、授業内容は様々ですので、記述例と授業形態との対応関係は厳密なものではありません。あくまで、記述例を検索する上での参考上の領域・授業形態の分類と考えてください。
各領域の説明
知識理解領域 この授業で習得すべき知識およびその知識が構築された基本的背景を理解するような形で記述する。
技能領域 当該授業によって身に付けるべき技術(Skill)及びそれを運用する能力。
態度領域を含んだ他分野・他科目への
応用発展的領域
プログラムを通して獲得が期待される学習態度や姿勢、または修得し理解を深めた知識を応用・発展的に展開できる能力。
表. シラバス「到達目標」の記述例の分類
 知識理解領域  技能領域 態度領域を含んだ他分野・他科目への
応用発展的領域
 講義科目
  1. ○○○の基礎的な知識を身につける。
  2. ○○○の基礎知識を修得する。
  3. ○○○の基礎概念を理解する。
  4. ○○○の定義や対象を明らかにする。
  5. ○○○の専門用語や考え方を身につける。
  6. ○○○から▲▲▲までの概要を理解する。
  7. ○○○のときの▲▲▲に関する□□□な知識を身につける。
  8. ○○○に関する最先端の研究を理解する。
  1. ○○○を捉えるための力を養う。
  2. ○○○の特徴について説明できる。
  3. ○○○を▲▲▲的な観点から分析できる。
  4. ○○○について計量分析できる。
  5. ○○○の基本的な概念について、その定義や基本的な研究が解説できる。
  6. 様々な理論と現実の○○○を関連させながら解説できる。
  7. ○○○理論に照らし合わせて分析・評価する能力の基本を修得する
  8. ○○○な成果に基づき、▲▲▲における□□□の特色を説明することができる。
  9. ○○○についての学問的な成果を▲▲▲的な観点から論ずることができる。
  1. ○○○について意欲的に考える姿勢を身につける。
  2. ○○○に関する興味・関心をもって積極的に実習に参加できる。
  3. 現実に起こっている様々な問題に対して、理論的・分析的な関心をもてる。
  4. ○○○のありかたについて、比較検討することができる。
  5. ○○○の概要を、▲▲▲とのかかわりの中で考察することができる。
  6. ○○○の基本的な概念について、自分の具体的な経験と結びつけて説明できる。
  7. 知識を基礎にして、○○○に対する提言ができる。
 実験・実習など
  1. ○○○および▲▲▲の仕組みを理解する。
  2. ○○○や▲▲▲を使うための基本的な用語や専門的な用語を理解する。
  3. ○○○の意義や役割について様々な視点から理解を深める。
  4. ○○○では、▲▲▲の構成や報告書の作成法を修得する。
  5. プレゼンテーションの資料作りや○○○の作成法を修得する。
  6. ○○○に必要なデータの加工処理や統計解析を理解する。
  7. 基本的な計測法からデータの視覚化までの手法を習得する。
  1. 実習を通して○○○の操作法を習得する。
  2. 各テーマの実験目的および手順を理解し、正しく実験を行うことができる。
  3. ○○○を確立する手段として▲▲▲を利用する能力を獲得する。
  4. 実験で得られた結果(測定値など)を整理、分析し、実験の成否の判断を行うことができる。
  5. 実験が成功した場合には、実験結果から目的(一般法則の導出・推定値の取得・物理現象の理解など)が達成されたことを確認することができる。
  6. 実験が失敗した場合には、その原因について考察することができる。
  7. 実験の目的・手順・結果などを分かりやすい形で報告書としてまとめることができる。
  1. ○○○に資する基礎的な知識や態度を習得できている。
  2. インターネットの仕組みを理解し、適切なファイル操作ができる。
  3. 安全に配慮して実験・実習などを行うことができる。
  4. ○○○において活躍する上で、極めて重要であると考えられる他者とのコミュニケートを通じて、リーダーシップの発揮、問題解決等の能力を身につける。
  5. この講義で得られた知識を活用して、新しい実験や実習を計画することができる。
 演習・ゼミ・PBL
  1. 基本的な分析方法について理解できる。
  2. ○○○に資する基礎的な知識を修得することができる。
  3. 研究学術論文の内容を正確に理解できる。
  4. 他の人の意見を適切に理解することができる。
  5. ○○○の意義や役割について様々な視点から理解を深めることができる。
  1. 自分の興味あるテーマに沿った適切な研究論文を検索できる。
  2. 理解した内容をわかりやすく他の受講生に伝える(発表できる)。
  3. 適切でわかりやすいレジュメ(配布資料)を作成できる。
  4. 効果的な発表ができる。
  5. 質問に理論的に答えることができる。
  6. 自分の意見をまとめ、グループで議論することができる。
  7. 他者の発表内容に対して、批判的(クリティカル)な思考をもってコメントできる。
  8. ○○○を確立する手段として▲▲▲を利用する能力を獲得する。
  1. 他者の様々な意見を聞き討論を行うためのコミュニケーション能力を身につけることができる。
  2. 与えられたテーマを実現する上での問題点を洗い出すことができる。
  3. 各問題点を解決するための資料を集め、解決案を立案できる。
  4. PDCAサイクルに基づいて解決案を具体化し、最終的に与えられたテーマを実現することができる。
  5. 一連の活動を報告書、もしくはプレゼンテーションの形で発表することができる。
  6. 研究に対する応用・発展的な思考を身につけることができる。