世界標準の評価基準で授業の良い点と改善点をチェックしてみよう
教員にとって授業チェックシートというと,何となく授業の改善点を指摘されるような印象がありませんか.
このチェックシートは確かに改善すべき点を気づかせてくれますが,教員が日頃授業で工夫している点も気づかせてくれます.
例えば,授業を始める際に,その日授業で行うトピックスに関連するニュースあるいはビデオなどを学生に提示することはないでしょうか.こうした工夫はここで紹介するARCSモデルで説明することができます.
それでは,前置きはこのくらいにして,ARCSモデルを用いた授業改善について説明していきます.
☛ARCSモデルとは何ですか?
学習意欲を「注意(Attention)」「関連性(Relevance)」「自信(Confidence)」「満足感(Satisfaction)」の4つの要因でとらえ,授業における学習者の学習意欲の分析や,学習意欲を高めるために提案されたモデルで,これらの4要素の頭文字をとってARCSモデルといいます.右図にあるように,授業に対する学生のモチベーションを維持するための方法論といえます.
☛何がいいの?
その1:世界レベル
フロリダ州立大学のケラー博士によって学習意欲に関する膨大な調査をクラスタ分析することによって開発された世界的に認知された手法です.
その2:網羅性
一般的に評価項目は網羅性が重要となりますが,こうした方法で開発されているためモレあるいはダブリのない評価が可能となっています.
☛難しくないの?
下表に示す12項目についてチェックします.紙面の制限で事例を省略していますが,ダウンロードされるExcelファイルには事例が記載されていますので,それらを見ながら進めることができます.ひとつの授業をチェックするための所要時間は10~20分です.
やってみよう
- 担当されるすべての授業をチェックする必要はないので,担当されている授業からひとつ選んでください.実施中の授業,終わった授業,これから始まる授業など,どれでも結構です.
- Excel形式のワークシートをダウンロードします.(http://www.media.hosei.ac.jp/download)
- 1シート目にワークシート,続くシートには多様な授業に対するサンプルがあります.
- 記載すべき個所は薄い青色でマークされています.まずワークシート上欄にチェックする授業の概要を記載してください.
- 次に右から2列目にある「担当する授業における現状」にとりかかります.ここには左から3列目にある設問に対して右隣にある対応事例を参考にしながら,チェックする授業の現状を記載します.該当しない場合は空欄でもかまいせん.
- 12の設問に対して記載してみたら,現状を振り返ってみます.回答が設問に対してあてはまる場合は望ましい方法で授業が運営されていることになります.
- 次に設問に対して実施できていない回答があれば,最右列の「今期授業における新たな取り組み」に文字通り,新たな取り組みを記載します.
- これで完了です.工夫されている授業を継続するとともに,新たな取り組みを始めてみてください.