講義授業の工夫 -情熱をもって講義に臨もう-

これまで、社会学部で「社会計画論」「環境社会学」を中心に講義科目を担当してきたが、100-300人程度の受講者のいる授業の効果を上げるために次のような工夫をしてきた。

1.自らが伝えたいテーマを核心に
自分が情熱をもって話したいトピックを核心に置く。学生にぜひ伝えたいという内容を専ら選んで話すことにしている。「消化試合」のような感動のない講義は避けたい。毎回、「今日は、この大事な話をするんだ」「この発見を伝えたいんだ」という気持ちをもって、講義に臨みたい。最近執筆した論文のコアになる視点を、なるべく織り込むようにする。

2.事例を先行させ、理論を後から話す。
担当科目の性格上、実証的なもの(事例の紹介)と理論とを往復することが必要である。その際、「理論先行、事例を後から」という方式ではなく、「事例先行、理論を後から」という方式で話す。両方の方式を試したが、「事例先行方式」のほうが、学生の理解と発見においてはるかに効果的である。提示された事例に対して、理論枠組みを使って可能になる意味発見・透明化を経験させるようにする。

3.講義の冒頭に数個の問いかけ
毎回の講義内容を支える3-4の問いを冒頭に明示する。毎回の講義の冒頭に、疑問文の形で数個の問いを板書し、数分間かけて問いの意味を説明する。毎回の講義はその問いに答えを与えるという形で展開していく。この方式は一回ごとの授業全体の展望を与え、専門的内容をわかりやすく説明するのに効果的である。

4.指定図書の読書ノート提出を義務化
課題として読書ノートの提出を求める。期末試験の他に、学期の中頃に数冊の指定図書の範囲で、手書きの「読書ノート」の作成と提出を求める。講義ノートと並んで読書ノートを作成することが、学習効果を高める鍵であるのに、現在の学生の多くは読書ノートをとる習慣がない。読書ノートという方法を体得させれば、一つの講義にとどまらない効果がある。読書ノートは採点して返却する。