試験と成績評価について

成績評価は、単位認定がからみますので、教員にとっても、学生にとっても、気の重い仕事です。成績評価とは、単にA+,A,やB,やCやDをつけることではありません。成績評価は授業内容と密接に関係します。教員はシラバスに授業の目標を明記するわけですが、成績評価は、学生がシラバスにかかげられた授業目標のどこにまで達したのか、学生がどこまで理解したのか、習熟度を示すものです。そこから、試験問題作成の目標も明らかになります。ウィンストン・チャーチルは何度もパブリックスクールの試験に落ちた経験があり、自分は自分の知識を示そうとしていたのに、教官は自分の知らないことばかり質問してきた、と回顧録で述懐しています。チャーチルの例に即していえば、試験問題作成の目標は、学生の知らないことを暴くことではなく、学生が何を知っているのか、学生に示してもらうものでなければなりません。この点からすると、平均点が60点を割る試験問題は再考の余地があります。もちろん、学生の勉強が足らないこともありえます。しかし、試験問題が適切であるかどうか、授業の内と試験問題とがうまく合致しているかどうか、再考されてはいかがでしょうか。 しばしば絶対評価か相対評価かということで議論になりますが、学生がシラバスにかかげられた授業目標のどこにまで達したのか、習熟度によって評価する観点からすると、この議論は意味がありません。 また、習熟度をみるという観点からすると、1回の期末試験だけで成績評価するのは効果が期待できないと考えます。中間試験を行う、普段小テストを行うなどして、習熟度をチェックする工夫が必要です。 なお、成績評価の基本として、評価の厳密性と公正性があげられますが、この点につきましては、GPAの項目をご覧ください。

参考シラバスは「学生との契約書」」/「GPA」 日本テスト学会(http://www.jartest.jp