私の授業のひと工夫 第9回
経済学部・社会学部で物理学を受講している学生の高等学校での文・理系比率は8:2で、圧倒的に文系優位である。基礎教育科目である「物理学A・B」は、物理現象そのものに関心を持たせるため、授業内容は天文学をテーマにしている。天文学の分野は広く関心を持たれる分野でもあり、宇宙の物理法則はそのまま地球上でも適用されるため、無理なく物理学を講義することができる。さらに物理学の受講を契機に、一般的な科学への興味が持続するよう、日々のニュースを扱いながら授業を進行しているので、これを紹介する。
授業の最初10分以内を目安に「今週の科学ニュース」と題して、およそ1週間以内に報道された科学的な内容を扱ったニュースを紹介し、高校までに学習した知識を含めて、最新の科学知識の一端を理解できるように解説を行っている。報道された科学技術が何を解明するのか、あるいは日常のどのような不便を解消するのかを知ることで、たとえば原子核物理学の難解な話題であっても親近感を覚えるようである。
「今週の科学ニュース」では、物理学に限らず、生物・化学・地学・医学などの分野であっても、学生の関心が高いと考えられるものを紹介している。特に生物・医学の話は、生活に密接に関連していることもあり、関心が高い。授業中に回収するコメントシートによれば、このような取り組みは、受講生の科学への関心を高めているようである。