小テストにおけるひと工夫
2012年度までの理工学部(選択,履修者65,3年)の授業では、全員がノートPCを保有している環境を利用し、授業支援システムのクリッカーやオンラインテストで授業を振り返るようにしていました。しかしながらこの方法では学生の思いが伝わってこず、その都度、学内プロジェクトである教員がコメントした「紙メディアは、手書きならではの「顔」の見えるコミュニティーが形成される。コメント内容に学生の個性が反映される場合は、紙メディアが適していると思われる。」という提言を思い出していました。
そこで2013年度から手書きの小テストを利用することを考え、さらに学生にはMindMapを書かせることにしました。
授業での利用法はとても簡単です。すなわち、A5サイズの出席票を用意し、授業の最後の10分に「本日の授業で学んだキーワードとそれらのキーワードの関係を図示してください。」というだけです。ただし、初めて利用する前には、YouTubeにあるガイドにそって自己紹介を宿題として書かせています。
この手法の効果として、学生にとっては、省察(リフレクション)によってその授業で学んだことが論理的に整理されます。また教員にとっては、学生の理解の状況がわかるので自身の授業の省察にもなります。
授業のひと工夫というのは,返却された小テストに少しでもいいので図1にあるようにコメントを書くことです。
学生は誤って理解していることがあるので、まずそれを訂正します。また、正しく理解している場合でも「よく書けています。」と一言加え、次回の授業までに返却します。いずれの場合にも目立つように赤ペンで手書きします。これにより、ARCSモデルにおける,「学生の成功に対してコメントや賞賛を与えることによる外発的な強化」がなされ、結果として学生のモチベーションが高まることが期待されます。授業アンケートでは学生からこの点に関するコメントがあるので効果はあるものと考えています。
このひと工夫に関しては、学生数が多いと返却あるいは成績の転記などで大変になりますが、それらの課題は情報メディア教育研究センターで開発しているシステムで解消されています。現在、本システムは実証実験中ですが、今後学内に展開できればと考えています。