私の授業のひと工夫 第3回
どれだけの効果があるのか、きちんと検証しているわけではないのですが、ご参考までにと思い、私の授業での工夫について書かせていただきます。履修者400人以上になる大規模講義の例になります。人的資源管理という、経営学の中でもとくに人材の管理を扱う領域の学部講義です。履修者が多いこともあり、いわゆる双方型あるいは学生参加型の授業の進め方は、リアクションペーパー等の利用も含め、行っていません。学生が、発言を求められる心配(?)もなく、情報を受け取り理解することに集中できる授業があっても良いかなと思っています。選択科目なので、それが許されているのかもしれませんが。
いずれにせよ、こうした授業形式を選択すると、90分間、学生の集中力を確保し、少なくとも私語でうるさくないようにすることとが、大きな課題になります。もちろん授業の内容が最も大事なのでしょうが、内容面での工夫は授業テーマに特殊なものです。人事管理がテーマなので、就職後のキャリアとの関係について話すことで、学生に関心を持ってもらいやすいと思います。
より汎用的な、方法に関する工夫としては、授業中、説明で使う媒体をマルチにしていることが挙げられます。こう書くとハイテクな印象になるかもしれませんが、そうではありません。講義のなかで、丁寧に説明したい重要なことは ①板書を使って説明します。たぶん7割くらいの時間をこれに充てています。先行研究での議論や制度の紹介など、板書するにはやや細かい内容と思われることには ②パワーポイントを用います。そして、授業のレジュメと表やグラフなどは ③配布プリントで説明します。③配布プリントも、教室にある投影設備を利用してスクリーン上に投影します。パワーポイントと違い、投影しているプリントに色線等を書き込みながら説明を行うことができます。授業の初めなどに、プリントのレジュメを投影して学生と進捗を確認したりもします。授業見学に来られたある先生から、プリントをそのまま投影するなんて「目からうろこ」と言っていただいたことがあり、気を良くしています。
このように ①板書、②パワーポイント投影、③プリント投影の方法を組み合わせて授業をすすめると、授業に少しリズムができて、学生の集中力の維持につながるのではないかと思っています。①では教室が明るく、② ③では投影を見やすくするため照明を落とすので教室が暗くなります。物理的にもメリハリがつきます。学生も、学期がすすんで慣れてくると、とくに ②パワーポイントでの説明の際、少しざわついたりして息を抜く雰囲気になります。そういう場合は、はやめに ①板書での説明にもどると、また授業に集中してくれるようです。
多くの授業ですでに実施されているようなことかもしれません。でも、ほかにお話しすべき工夫が見当たらないので、ご紹介させていただきました。