私の授業のひと工夫 第16回

 多くの先生方も経験されていることと思うが、同じ内容の授業であっても毎年入学してくる学生のバックグラウンドによって、授業の進め方を大きく変えなければならない。特に理系科目は積み上げ式であることから、これまでの理解がどの程度であるかを把握することが、授業改善の始まりとなる。
 私がここで紹介したいのは、各授業の最初に行う簡単な「ミニテスト」である。授業の最初の5分程度を使い、その日の授業の鍵となるような簡単な課題を出してA5の用紙に解答してもらい、提出物などと一緒に回収する。学生がミニテストに取り組んでいる間に教室を回れば、課題の出来を把握することができる。その後、黒板にミニテストの解答を書きながら説明し、詳細な採点はTAに任せて記録してもらう。やることはこれだけであるが、授業へのフィードバックが比較的行いやすいという利点が大きい。
 また、副次的な効果も多くある。授業開始の鐘の前に、用紙の配布や課題を黒板に書くようにすると、用紙を受け取ってから授業が始まるまで、不思議と静かになる。このミニテストがあると思うと学生たちの心構えも変わるのかもしれない。遅刻が減ることに加え、不正打刻などの防止にもなるので、就任以来このミニテストを続けている。
 当日の授業で、学生への説明をどの程度深くするか、重点をどこに置くか、省略したり追加したりする内容は何にするかなど、この最初の5分間で授業の内容を微調整することができ、学生の理解を進めることが可能である。