私の授業のひと工夫 第15回

e-Portfolioを使った相互支援と協同学習

 教員の十回のお説教よりも、先輩の一回の経験談の方が学生に与える影響は大きい。そんな経験が一度ならずある。たとえば、留学。本学の派遣留学制度だけなく、政府奨学金などの公費留学制度に挑戦するよう何度も勧めてきたのだが、一向に応募者がいない。ところがある年、政府奨学金による公費留学制度に合格した学生が出た途端、毎年のようにこの制度に挑戦する学生が出るようになった。
 問題はどうすればこういった成功体験を学年の壁を越えて共有できるかだが、国際文化学部ではこれを支援するツールとしてe-Portfolioを活用している。e-Portfolioというと、学生個人がその成果物を蓄積し、公開するためのツールというイメージが強いが、実際には学生間の相互支援(Peer Support)を支援するためのツールという役割の方がはるかに大きい。
 留学試験や資格試験、就職活動などで目標を実現した学生が、その成功体験をe-Portfolioに記録する。すると同じ目標を持つ学生たちがそれを参考に準備を進めていく。教員の役割は、前者にその記録を依頼し、後者にそれを紹介すること。それだけで正のスパイラルが始まる。
 e-Portfolioにはもう一つ、協同学習(Cooperative Learning)を支援する機能もある。たとえば、原書講読。日頃は授業やアルバイトでなかなか集まることのできない学生たちだが、e-Portfolio上で共同翻訳を行うことで、互いの誤訳を指摘しあい、語学力と原書への理解を高めることができる。これを繰り返すことで、ここでも正のスパイラルが始まるのである。