学生との相互行為をもたらす「授業通信」

50名を超す講義科目でも(私自身は400名以上の講義でも実戦した経験があります)学生とのコミュニケーションを作れる例として「授業通信」を紹介したいと思います。 まず,毎回の授業の終了時に,質問や意見,感想などを必ず書いて提出してもらいます。この提出が出席の要件となっていて,感想が白紙やそれに近い場合には出席と見なしません。これは「授業の振り返り」を重視しているからです。毎回の授業内容が自分にとってどのような意味を持つのかを考え,自分の中に位置づけ,新たな学問的興味の出発点としてもらうためです。どんなによい授業をしても「受けっぱなし」では学生の中に蓄積しません。集めたすべての感想に目を通し,「これは答えたい」と思う感想や意見を選び,自分のコメントをQ & A形式にまとめ,翌週の授業開始前に配付するのが「授業通信」です。プリントにすることで,授業時間を浪費せずにフィードバックできます。また,口頭での説明と違い,プリントとして手元に残るので,時間が経ってから授業内容を振り返る(復習する)にも活用できます(授業内容の補足もできます)。さらに,同じ授業を受けていた他の受講生の考え方や価値観を知ることが可能になり,多様な視点を獲得することを促せます。授業者の考えやポリシーを説明する機会にもなっています。 学生が書いてくれた感想・質問に対して,キチンと対応する姿勢を持つことが重要なのであり,授業通信の分量それ自体はあまり重要ではないと思います。できる範囲で発行すればよいのです。授業通信には他にも様々な教育効果があります。詳しくは下記論文等を参照してください。

参考文献

藤田哲也・溝上慎一 2001 授業通信による学生との相互行為I-学生はいかに「藤のたより」を受け止めているか- 京都大学高等教育研究, 7, 71-87.