プリント

毎回のプリントが学期末には立派な資料に

もし1時間半の講演を依頼されたら、大方の人は話す内容を事前に整理し、レジュメや配布資料を用意することでしょう。日々の授業に臨む教員の姿勢も基本的には同じで、これを独演会ではなく、学生との双方向性の中で作り上げていくところに特徴があります。 その日に取り上げる内容を組み立て、統計グラフや年表を作成し、関連する本・雑誌・新聞などから適切な箇所を引用する。授業内で上映する映像や回覧する資料などのデータ類を記し、より学びたい学生のために参考文献にも言及する――満足のいくプリントが完成すれば、授業の展開がおのずと見えてきますし、その日の授業は半ば成功したも同然です。 近年は伝統的な切り貼り式のプリントに代わって、パワーポイントなどを使ったパソコンによるプレゼンテーションが人気です。ただし、「早い速度でスライドを見せても学生の頭に残らないし、同じものを紙ベースで印刷しても無味乾燥だ」とする批判も耳にします。旧式にみえるプリント配布も、まだまだ生命力を失ってはいません。 もちろん著作権の問題がクリアできれば、プリントをそのままPDFファイルにして自分のウェブサイトに 載せ、学生に随時ダウンロードさせることも可能です。要は、自分の授業のスタイルに合わせ、新旧のさまざまな方法を工夫することでしょう。 半年ないし1年の授業が完結したとき、毎回の配布プリントを合冊にすると、学んできた内容全体が見渡せる立派な資料集が出来上がる――そんなプリントが日々作れればいいですね。